今まで、結婚式場 ラヴィーナは沢山のお客様にご利用頂き、そして
お客様に育てて頂きました。
そんな中で、忘れることができないお客様がいらっしゃいます。
その新郎様は、好青年でした。
性格も素直で、話し方も落ち着いていらっしゃいました。新婦様もしとやかでお似合いのカップルに見受けられました。
打ち合わせも順調に進んでいきました。
新郎様のご家族は、お父さん・お母さん・妹さんの4人家族でした。
新郎のお父様は、長く東京に単身赴任中で、大手不動産会社の社長をしておられました。
小さい時から、お父さんは仕事一筋で、休日も仕事で家にはいらっしゃらず、家族の団らんや家族旅行もほとんどなかったそうです。
結婚式の1ケ月前くらいに、式場へお父さんから直接電話を頂き、料理へのご希望を伺いました。
魚料理は、フランスブルターニュ産のオマール海老を使用してくださいと指定がありました。
ある時に、打ち合わせの中でお父さんの話になり、新郎様から「お父さんが大嫌いなんです。」と打ち明けられました。
新郎様曰く、お父さんは大変亭主関白で、強引で、家族の言うことを全然聞かずに、何でも一人で決めてしまうということです。
新郎様も、お父様と全然気が合わずに、何度も衝突し、殴り合いの喧嘩もし、ここ数年は言葉も交わしていないということでした。
結婚式の相談もお母さんにはしたけれど、お父さんとは、殆どしていないそうでした。
そして、結婚式の当日を迎えました。
無事に進んでいきました。
最後の新郎様の挨拶。
皆さんへの出席いただいたことへのお礼の言葉の後です。
新郎様は、お父さんとの葛藤を話されました。
家族を大切にしないお父さんが大嫌いだったこと、大喧嘩をしたこと、
ずっとお父さんに対して確執があったこと、自分の気持ちの中で申し訳ないと思う一方で整理がついていなかったこと等々自分の気持ちを素直に話されました。
また、社会人になって仕事を進めていく中で、又結婚式の打ち合わせを進めていく中で、 父の頑張りが理解できたことや・存在が大きくなってきたこと黙々と仕事に精を出す父の優しさが少しずつ分かってきたこと等を話されました。
そして最後に、お父さんの前に行って「今まで育ててくれてありがとうございました。」で締められました。
お父さんは、その言葉を聞いて、新郎さんを抱きしめながら列席者の前で大泣きをされました。
結婚式は、新しい家族を創ると同時に、両親からの心の独立なのかもしれません。
特に新郎様にとっては、お父さんからの精神的独立は大変大切な結婚式の意
義の一つではないでしょうか?
私にとりまして、忘れられないお客様の一人になりました。